
総額の安さを優先し、最後に車を売却するなら現金購入が得になりやすく、初期費用や車検時のまとまった支出を抑えたいならカーリースが向いています。
ただし、5年で乗り換えるのか、7年・9年と長く乗るのかによって費用差は変わります。
月額料金だけで判断せず、税金、車検、メンテナンス、契約終了時の売却額や返却条件まで含めて比較することが重要です。
この記事では、同じN-BOXを5年・7年・9年利用するモデルケースを使い、カーリースと現金購入の実質負担を比較します。
- カーリースと購入は結局どっちが得か
- 5年・7年・9年利用した場合の費用差
- 売却額が変わった場合の比較結果
- カーリースと購入に向いている人
- 見積りを比較するときの注意点
結論|長く乗って売却するなら購入が得になりやすい
今回のモデル試算では、5年・7年・9年のいずれも、売却額を差し引いた現金購入の実質負担がカーリースを下回りました。
| 利用期間 | カーリース | 現金購入 売却後 |
購入との差 |
|---|---|---|---|
| 5年 | 約240万円 | 約139万円 | 購入が約101万円低い |
| 7年 | 約287万円 | 約184万円 | 購入が約103万円低い |
| 9年 | 約324万円 | 約224万円 | 購入が約100万円低い |
ただし、この差をそのまま「カーリースは100万円損」と判断するのは適切ではありません。
カーリースには、購入時のまとまった資金を使わず、税金や対象となるメンテナンス費用を毎月の支払いにまとめられる価値があります。
一方、購入には、車検や故障修理などの支出を自分で管理する必要があります。
- 実質負担の安さを優先する人:現金購入
- 初期費用を抑えたい人:カーリース
- 税金や車検費用を毎月定額にしたい人:メンテナンス付きカーリース
- 途中で売却・乗換えする可能性がある人:購入
- 走行距離やカスタムの制限を避けたい人:購入
カーリースの基本的な仕組みや残価、中途解約、返却条件を先に確認したい方は、カーリースとは?仕組み・メリット・デメリットを解説した総合ガイドもご覧ください。
カーリースと購入では「得」の意味が違う
カーリースと購入のどちらが得かを判断するには、最初に「何を得と考えるか」を決める必要があります。
購入は車の価値を最後に回収できる
現金で購入した車は自分の資産です。利用期間の途中でも、車が不要になった時点で売却できます。
例えば、購入から7年後に50万円で売却できれば、それまでに支払った車両代や維持費から50万円を回収できます。人気車種を選び、走行距離を抑えてきれいに使用できる人ほど、購入が有利になりやすいでしょう。
ただし、購入時には車両代と登録諸費用が必要です。所有後も軽自動車税、車検、点検、タイヤ、バッテリー、故障修理などを自分で支払います。
カーリースは支出を平準化しやすい
カーリースは、リース会社が購入した車を契約者が一定期間利用し、毎月リース料金を支払う契約です。
一般的な個人向けカーリースでは、車両代、登録諸費用、契約期間中の税金、自賠責保険料などが月額料金に含まれます。
メンテナンスプランを付ければ、車検整備、法定点検、オイル交換なども月額化できる場合があります。
一方で、メンテナンスプランの対象項目や交換回数、費用の上限はサービスごとに異なります。「メンテナンス込み」と書かれていても、タイヤやバッテリー、故障修理まですべて含まれるとは限りません。
月額が安いことと総額が安いことは別
カーリースの広告では、月額1万円台などの料金が表示されることがあります。
しかし、ボーナス払い、長い契約期間、頭金、メンテナンス料金が別に設定されている場合があります。
比較するときは、次の計算式で総支払額を確認してください。
購入についても、車両価格だけでは比較できません。登録諸費用、税金、車検、メンテナンス、修理費を加え、最後に想定売却額を差し引きます。
N-BOXを5年・7年・9年利用する費用を比較
ここでは、Honda N-BOXのベースグレード・2WDを同じ条件で利用するモデルケースを作成します。
今回の試算条件
- 車種:Honda N-BOX ベースグレード・2WD
- 車両本体価格:1,768,800円
- 購入時の登録諸費用:12万円
- 購入方法:現金一括
- 走行距離:年間10,000km
- カーリース:頭金・ボーナス払いなし
- カーリースの月額:税金、自賠責、車検、対象メンテナンスを含む比較用モデル
- 燃料代、駐車場代、任意保険、高速道路料金:双方に必要なため除外
- 購入車の維持費:税金、車検、点検、一般的な消耗品交換を含む
- 事故、タイヤ4本の臨時交換、大きな故障修理:含めない
車両価格はHonda公式サイトで2026年9月11日に確認した価格を使用しています。
2026年4月1日から自動車税・軽自動車税の環境性能割は廃止されています。税制や重量税の適用額は登録時期や車両の燃費性能によって変わるため、購入時は販売店の見積書で確認してください。
軽乗用車の軽自動車税(種別割)は、2015年4月以降に新規登録された自家用車の場合、標準税率が年額10,800円です。また、自家用乗用車の車検期間は新車の初回が3年、以後は2年ごとです。
参考:御所市「令和8年度 軽自動車税」、国土交通省「自動車検査証の有効期間」
購入とカーリースの試算内訳
現金購入の維持費は、5年間で30万円、7年間で45万円、9年間で65万円と仮定しました。利用期間が長くなるほど車検回数が増え、バッテリーやタイヤなどの交換可能性も高くなるためです。
カーリースの月額は、2026年9月時点に公式サイトで確認できるN-BOXの料金例を参考にし、期間ごとの比較用金額として設定しています。実際の料金ではないため、契約時には同じ車種・グレード・装備で見積りを取得してください。
| 項目 | 5年 | 7年 | 9年 |
|---|---|---|---|
| 購入時の車両・諸費用 | 188.9万円 | 188.9万円 | 188.9万円 |
| 購入後の税金・車検・整備 | 30万円 | 45万円 | 65万円 |
| 購入の支出総額 | 218.9万円 | 233.9万円 | 253.9万円 |
| 想定売却額 | 80万円 | 50万円 | 30万円 |
| 購入の実質負担 | 138.9万円 | 183.9万円 | 223.9万円 |
| リース比較用月額 | 40,000円 | 34,220円 | 30,000円 |
| リース総支払額 | 240万円 | 約287.4万円 | 324万円 |
今回の条件では、売却後の実質負担は現金購入のほうが約100万円低くなりました。
ただし、カーリースの月額には、税金や対象メンテナンスの定額化、車検時期の管理、満了時に売却先を探す手間を減らせるというサービス面の価値が含まれます。
公式料金の一例として、コスモMyカーリースでは、2026年9月11日時点のN-BOXについて、フルメンテナンス付き5年プランが月額39,270円から、7年プランが月額34,980円から案内されています。走行距離は月1,000km以内が標準です。
料金は選択するグレード、オプション、走行距離、メンテナンス範囲、契約方式によって変わります。
表の数字だけでサービスを決めず、必ず個別見積りを確認してください。
5年で乗り換えるならどっちが得?
5年で乗り換える場合、今回の試算では現金購入の実質負担が約138.9万円、カーリースが240万円です。
5年落ちの車には一定の中古車価値が残りやすいため、売却額を回収できる購入が総額では有利になりやすくなります。
一方、5年後の乗換えを最初から決めていて、売却査定や価格交渉をしたくない人には、返却型カーリースの分かりやすさがあります。初回車検と次の車検にかかる費用を月額化できる点もメリットです。
注意したいのは、5年契約では走行距離制限が設定されるサービスが多いことです。年間10,000km走る場合は、月間833km程度になります。
旅行や帰省が多い人は、月1,000kmでは余裕が少ない可能性があります。
7年利用するなら購入の売却価値が重要
7年利用した場合、現金購入の実質負担は約183.9万円、カーリースは約287.4万円です。
購入した車を7年後に50万円で売却できる前提では、購入の負担が約103万円低くなりました。
7年は、車の状態や走行距離によって売却額の差が広がりやすい時期です。年間10,000kmなら走行距離は約70,000kmになります。修復歴の有無、内外装の状態、人気色、モデルチェンジの時期などでも査定額が変わります。
カーリースでは7年以上の契約を対象に、走行距離制限なしや、満了後に車をもらえるプランを用意しているサービスがあります。
ただし、返却型の7年プランより月額が増える場合があるため、車をもらうためのオプション料金や名義変更費用まで含めて比較してください。
9年利用するなら「返却」と「もらえる」の違いを確認
9年利用した場合、今回の試算では現金購入の実質負担が約223.9万円、カーリースが324万円です。
9年間同じ車に乗るなら、購入は車両代を支払った後も自由に乗り続けられます。9年後に売却せず、さらに数年乗れば、購入の1年当たりの負担は下がります。
カーリースの9年プランには、満了時に返却する契約と、車をもらえる契約があります。
この2つは分けて比較しなければなりません。
| 満了条件 | 9年後の車 | 確認点 |
|---|---|---|
| 返却型 | リース会社へ返却 | 走行距離、傷、原状回復、残価精算 |
| もらえる型 | 契約者へ譲渡 | オプション料、名義変更費用、譲渡条件 |
もらえるカーリースなら、9年後の車両価値が契約者に残ります。そのため、返却型リースの総額と同じ条件で比べるのは不公平です。
購入と比較するときは、「9年後に車が残るか」「追加料金なしで譲渡されるか」を必ず確認してください。
売却額が変わると比較結果はどうなる?
購入の実質負担を左右する大きな要素が売却額です。そこで、基準の売却額から20万円高い場合と、20万円低い場合を試算します。
| 期間 | 売却額が20万円低い | 基準 | 売却額が20万円高い |
|---|---|---|---|
| 5年 | 158.9万円 | 138.9万円 | 118.9万円 |
| 7年 | 203.9万円 | 183.9万円 | 163.9万円 |
| 9年 | 243.9万円 | 223.9万円 | 203.9万円 |
今回の条件では、売却額が想定より20万円下がっても現金購入の実質負担が低い結果です。
ただし、大きな故障で30万~50万円程度の修理が必要になった場合や、事故によって査定額が大幅に下がった場合は差が縮まります。
反対に、人気車種をきれいに使用し、高値で売却できれば購入がさらに有利になります。
購入では、売却額を楽観的に設定しすぎないことが重要です。比較時は、基準額だけでなく「想定より20万~30万円低かった場合」も計算しておきましょう。
現金購入ではなくローンなら金利を加える
ここまでの購入費用は現金一括を前提としています。カーローンを利用する場合は、借入金利と手数料を追加しなければなりません。
例えば、約188.9万円を年3.9%の元利均等返済で借りるモデルでは、概算利息は次のようになります。
- 5年返済:約20万円
- 7年返済:約28万円
- 9年返済:約37万円
金利を加えると購入とカーリースの差は縮まります。それでも、完済後に車が残り、売却額を回収できる点は購入側の強みです。
ローン購入とカーリースを詳しく比較したい方は、カーリースとカーローンはどっちが得?総額・月額・所有権を比較をご覧ください。
カーリースが向いている人
総額だけでは購入が有利に見えても、次のような人にはカーリースの仕組みが合う可能性があります。
- 車両代を一括で支払わず、手元資金を残したい人
- 税金や車検時のまとまった出費を避けたい人
- 毎月の車関連費を一定に近づけたい人
- 点検や車検時期の管理を簡単にしたい人
- 契約期間中に車が不要になる可能性が低い人
- 満了時の売却手続きをしたくない人
実際の利用感や契約後に分かった注意点については、実際にカーリースを契約して分かったメリット・デメリットも参考にしてください。
購入が向いている人
次の条件に当てはまる人は、現金購入やローン購入のほうが自由度と総額の両面で合いやすいでしょう。
- 同じ車に7年・9年以上乗る予定の人
- 車を売却して次の購入資金に充てたい人
- 年間走行距離が多い人
- 途中で売却・乗換えする可能性がある人
- 車を自由にカスタマイズしたい人
- 税金や車検、修理費を自分で積み立てられる人
- 支出の定額化より総負担の低さを優先する人
特に、9年利用した後も同じ車に乗り続ける予定なら、購入のほうが有利になりやすくなります。
見積りを同じ条件で比較する方法
カーリースと購入を正しく比較するには、販売店とリース会社へ同じ条件を伝えます。
- 車種、グレード、駆動方式をそろえる
- ナビ、安全装備、ボディカラーなどのオプションをそろえる
- 利用期間を5年・7年・9年のいずれかに決める
- 年間走行距離を決める
- 頭金とボーナス払いを0円にそろえる
- 税金、車検、点検、消耗品の含有範囲を確認する
- 購入は想定売却額、リースは満了条件を確認する
カーリースの総額は、次の項目を見積書で確認します。
- 月額料金と支払回数
- 頭金、申込金、ボーナス払い
- メンテナンスプランの料金
- 契約期間中の税金と車検費用
- 走行距離制限と超過料金
- 残価精算の有無
- 傷や汚れに対する原状回復費用
- 中途解約と全損事故時の精算条件
- 満了後の返却、買取り、再リース、譲渡条件
購入の総額には、車両価格、登録諸費用、ローン金利、税金、車検、点検、消耗品、修理費を含めます。
最後に、保守的に見積もった売却額を差し引いてください。
契約前に注意したい4つのポイント
契約期間を長くして月額だけを下げない
カーリースは契約期間を長くすると月額が下がりやすくなります。ただし、支払回数が増えるため、総支払額まで下がるとは限りません。
9年契約を選ぶ場合は、転勤、結婚、出産、子どもの独立、免許返納など、生活環境が変わる可能性も考えてください。
中途解約できると思い込まない
一般的なカーリースは原則として中途解約が難しく、認められた場合でも残りのリース料などを基に精算金が発生する可能性があります。
「不要になったら返せばよい」という契約ではありません。5年・7年・9年の契約期間を無理なく継続できるか確認しましょう。
任意保険は同じ条件で別途比較する
一般的なカーリースでは、任意保険は月額料金に含まれません。購入でも別途加入するため、今回の試算からは除外しています。
リース車で全損事故が発生すると、契約終了に伴う精算金が必要になる場合があります。
車両保険だけでなく、リース契約の中途解約費用を補償できるか、保険会社や代理店へ確認してください。
返却型ともらえる型を混ぜて比較しない
返却型リースは満了後に車が残りません。もらえるリースは、条件を満たせば満了後に車が契約者へ譲渡されます。
購入と比べるときは、契約終了時に車が誰のものになるかをそろえることが重要です。もらえるプランは、オプション料金と名義変更費用を含めた総額で判断してください。
同じ条件のカーリースを比較する
カーリースを検討する場合は、広告上の最低月額だけで1社に決めず、同じ車種・グレード・契約期間・走行距離で2~3社から見積りを取ると判断しやすくなります。
サービスによって、選べる契約期間、メンテナンス範囲、走行距離、満了後の選択肢が異なります。
実際の支払項目を確認したい方は、カーリースで実際に払っている金額と総費用もあわせてご覧ください。
まとめ
カーリースと購入のどちらが得かは、総額、初期費用、利用期間、満了後の車の扱いによって変わります。
今回のN-BOXによるモデル試算では、売却額を差し引いた現金購入の実質負担が、5年・7年・9年のすべてでカーリースより約100万円低くなりました。
同じ車に長く乗り、最後に売却できるなら、現金購入が得になりやすいというのが基本的な結論です。
一方、カーリースには、初期費用を抑え、税金や対象メンテナンス費用を月額化できるメリットがあります。総額の最安だけでなく、手元資金を残すことや、突発的な支出を減らすことに価値を感じる人には選択肢になります。
最終的には、同じ車種・グレード・装備・利用期間で購入見積りとリース見積りを取得し、次の2点を分けて判断してください。
- 毎月無理なく支払えるか
- 契約終了までの実質負担はいくらか
月額の安さだけではなく、契約終了時に車が残るか、売却額を回収できるかまで含めることが、後悔しない選び方につながります。
よくある質問
カーリースと購入は結局どっちが安いですか?
同じ車に長く乗り、最後に売却するなら購入が安くなりやすいです。カーリースは税金やメンテナンス費用を月額化できますが、手数料やサービス料金も含まれます。購入価格だけでなく、双方の総支払額と終了時の車両価値を比較してください。
5年だけ乗る場合も購入のほうが得ですか?
5年後に一定の価格で売却できる人気車種なら、購入が得になる可能性があります。ただし、購入時にまとまった資金が必要です。初期費用を抑え、5年ごとに手間なく乗り換えたい場合は、返却型カーリースにもメリットがあります。
7年と9年ではどちらの契約がおすすめですか?
月額を抑えたいだけで9年を選ぶのはおすすめできません。9年間、同じ車を使い続けられるかを先に考えてください。生活環境が変わる可能性があるなら7年、長期利用が確実で満了後に車を所有したいなら、購入またはもらえる9年リースを比較します。
カーリースの月額には車検代も含まれますか?
サービスとプランによって異なります。重量税や自賠責保険料は含まれていても、車検の点検整備料や交換部品代は別という場合があります。「車検込み」という表示だけで判断せず、法定費用、整備費用、部品代の対象範囲を確認してください。
カーリースでも最後に車をもらえますか?
車をもらえるプランを用意しているサービスがあります。ただし、一定以上の契約期間や有料オプションへの加入が条件になる場合があります。譲渡時の事務手数料、名義変更費用、未払い料金がないことなど、具体的な条件を契約前に確認してください。
売却額はいくらで設定すればよいですか?
同じ車種・年式・走行距離の中古車相場を参考にし、販売価格ではなく買取価格を想定します。1つの金額だけで判断せず、基準額から20万~30万円下がった場合も試算してください。モデルチェンジや車の状態によって査定額は変わります。
現金購入とカーローンは同じように比較できますか?
同じではありません。カーローンでは借入金利と手数料が加わります。購入車の税金、車検、メンテナンス費用に加え、ローンの総返済額を使用してカーリースと比較してください。
KINTOも一般的なカーリースと同じですか?
完全には同じではありません。KINTOは車両代、税金、所定のメンテナンスに加え、任意保険を月額利用料に含む点が一般的なカーリースと異なります。一般カーリースと比較するときは、別払いになる任意保険料を加えて条件をそろえる必要があります。